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中国の配車アプリで表示される価格は、同じ経路でも人によって価格が異なる。金額の差は「優待券」の有無によることが大きいが、その券が得られる条件は不透明だと指摘される=配車アプリの画面から。デザイン・郭溢

 北京市内の40代の会社員女性はよく、ライドシェアのタクシーを使う。スマホの配車アプリで車を呼ぶことができ、料金次第で高級車や大型車なども選べる。市民の足として定着して久しい。

 ある時、同じオフィス地区に通う友人とその料金の話題になり、気づいた。同じアプリで同じ目的地を選んでも、画面に表示される料金が違う。「自転車通勤でほとんどタクシーは使わない」という友人の方が、明らかに安い。職場から市内の首都空港へ行く場合、車種によっては28元(約560円)の差があった。

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北京の病院の出入り口で診察を終え、配車アプリで車を呼ぶ人たち。目の前にタクシーの空車があっても、配車アプリを選ぶ人も多い=2025年4月7日、斎藤徳彦撮影

 小売総額のおよそ半分がネット経由で売れてゆく中国。スマホを使った買い物は、中国の消費生活そのものだ。だが、その画面上で表示される値段が、必ずしも誰にも平等な「一物一価」ではないことに、数年前から人々が気づき始めた。

【前回はこちら】先鋭化する中国ネット世論「愛国流量」のせい? 対日印象にも影響か

受験や結婚といった人生の転機や、経済やライフスタイルの変化を、中国の人びとはワンフレーズの漢字で巧みに表現しています。そんな新語・流行語が映し出す、中国社会のいまを読み解きます。

 日常の買い物や多種多様なサブスクリプション(購読)、航空券代や映画チケット代に至るまで、自分が買う料金が他人と違うことがある。

 日本でも航空券代やホテル代で、すいている時に価格が安くなるといった「ダイナミックプライシング」は導入されている。よく使う客を優遇する仕組みもある。

 ただ、中国の場合、それとはまた異なる。

不利益(殺)を被るのは

 「殺熟」。「熟」はこの場合…

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